採用活動で「伝わり方」を間違えると、候補者に“キープ”されてしまう話〜優先順位を下げられないための人事コミュニケーション術〜
はじめに
採用活動において「伝え方」「伝わり方」は、想像以上に大きな影響を持ちます。 求人票や面接での言葉だけでなく、電話やメールの対応ひとつで、候補者の心象は大きく変わります。
そして怖いのは、伝え方を誤ると、候補者から“キープ”扱いされてしまうこと。 つまり「とりあえず内定はもらったけど、第一志望ではない。保険として残しておこう」という状態です。
この記事では、実際の採用現場で起きがちな「伝わり方の失敗例」と、それを防ぐための具体的な工夫をまとめます。
電話対応ひとつで印象は決まる
人事や採用担当者にとって、応募者や紹介会社からの電話は日常茶飯事。 しかし、その対応が雑だと「この会社は候補者を大切にしていない」と思われてしまいます。
ありがちな失敗例
- 「今会議中なので折り返します」と何度も繰り返す
- 電話を受けた人が不機嫌そうな声で対応する
- 折り返しが遅く、候補者を不安にさせる
これが続くと、候補者は「この会社は残業が多そう」「人間関係がギスギスしてそう」と勝手にイメージしてしまいます。
第一印象は電話口から始まっていると心得るべきです。
ハローワークや紹介会社の担当者は“鏡”
候補者は、ハローワークや人材紹介会社の担当者から企業の印象を聞くことが多いです。 そのときに「この会社は対応が雑だよ」と言われれば、候補者はそのまま信じてしまいます。
つまり、窓口担当者の印象=企業の印象になりやすいのです。
- 丁寧に対応する担当者 → 「安心できる会社」
- 雑に対応する担当者 → 「ブラックっぽい会社」
候補者は一度そう思い込むと、なかなか印象を変えません。
印象操作は“勝手に”されてしまう
採用担当者が意図していなくても、候補者の頭の中では「印象操作」が勝手に行われています。
- 電話がつながらない → 「忙しすぎる会社」
- 折り返しが遅い → 「候補者を軽視している会社」
- 事務的な対応 → 「冷たい会社」
こうした小さな積み重ねが、候補者の優先順位を下げてしまうのです。
“キープ”されるとどうなるか
候補者が「とりあえず内定をキープ」している状態は、企業にとって非常に危険です。
- 入社直前で辞退される
- 入社しても「他社に行けたはず」と思い続ける
- モチベーションが低く、早期離職につながる
つまり、伝え方を誤ると採用コストが無駄になるのです。
優先順位を上げるための工夫
採用通知はスピード勝負
候補者は複数社を受けています。 「合格です」と伝えるのが遅れると、他社に先を越されてしまいます。
採用通知は1週間以内に伝えることを徹底しましょう。
候補者を“特別扱い”する
- 電話やメールは迅速に対応する
- 面接後に「今日は来てくれてありがとう」と一言添える
- 内定通知は形式的な文書だけでなく、担当者の言葉も添える
こうした小さな工夫が、候補者に「自分は大切にされている」と感じさせます。
優先順位が伝わる言葉を使う
- 「ぜひあなたに来てほしい」
- 「あなたの経験を活かせる環境を用意しています」
- 「入社後に一緒に取り組みたいことがあります」
こうした言葉は、候補者の心に強く響きます。
人事担当者が陥りやすい勘違い
「候補者は内定をもらったら喜んで入社するはず」 そう思っている人事は少なくありません。
しかし現実は、候補者は常に複数社を比較しています。 「この会社に入りたい」と思わせるためには、伝え方の工夫が欠かせないのです。
チェックリスト
電話対応
- [ ] 折り返しは即日できているか
- [ ] 声のトーンは明るいか
- [ ] 候補者を待たせすぎていないか
採用通知
- [ ] 1週間以内に伝えているか
- [ ] 曖昧な表現を避けているか
- [ ] 候補者を特別扱いする言葉を添えているか
内定後フォロー
- [ ] 入社前に定期的に連絡しているか
- [ ] 不安を解消する場を設けているか
- [ ] 「あなたを歓迎している」という姿勢を伝えているか
まとめると
- 採用活動は「伝え方」で候補者の印象が大きく変わる
- 電話対応や窓口担当者の印象が、そのまま企業の印象になる
- 伝え方を誤ると候補者に“キープ”され、採用コストが無駄になる
- 採用通知はスピードと特別感が大切
- 「あなたを歓迎している」という姿勢を伝えることが最重要
おわりに
採用活動は「人と人との出会い」です。 だからこそ、伝え方ひとつで未来が変わります。
候補者に「この会社に入りたい」と思ってもらえるかどうかは、 求人票や給与条件だけでなく、日常のやり取りの中にある小さな“伝わり方”にかかっています。
今日からぜひ、電話一本、メール一通の伝え方を見直してみてください。 それだけで、候補者の優先順位は大きく変わります。


