「地方都市には仕事がない」は本当?〜都市部との求人・生活コストの差から考える、地方で働くという選択〜
はじめに
「田舎(地方)には仕事がないから、東京に出るしかない」 そんな言葉を、地元の若者から何度も聞いてきました。
確かに、求人の数だけを見れば、東京や大阪などの都市部と比べて糸魚川市は圧倒的に少ない。
でも、だからといって「働けない」「未来がない」と決めつけるのは早すぎる。
この記事では、都市部と糸魚川市の求人の差をデータで見ながら、 「それでも糸魚川で働く意味」について考えてみたいと思います。
数字で見る求人格差
2025年現在、厚生労働省の有効求人倍率によると
| 地域 | 有効求人倍率(2025年) | 
|---|---|
| 東京都 | 1.68 | 
| 大阪府 | 1.22 | 
| 新潟県 | 1.42 | 
| 全国平均 | 1.22 | 
東京都は全国トップクラスの求人倍率。
一方、新潟県は全国平均を上回っているものの、県内でも地域差が大きく、糸魚川市はその中でも求人件数が少ないエリアです。
さらに、全国求人情報協会の調査によると、2025年の求人広告件数は全国で約226万件。 そのうち、関東圏だけで約40%を占めており、地方都市の求人は相対的に少ない傾向があります。
若者が都市部に流出する理由
- 求人の数が少ない
 - 給与水準が低い
 - キャリアアップの機会が限られている
 - 地元に魅力的な企業が見つからない
 
こうした理由から、糸魚川市の若者は進学や就職を機に都市部へ移り、そのまま戻ってこないケースが多い。
でも、ここで一つ問い直したい。 「仕事がない」とは、どういう状態なのか?
「仕事がない」の正体は“選択肢が少ない”こと
糸魚川市には、確かに大企業の本社はない。
でも、地域に根ざした中小企業、製造業、建設業、観光業、農業、福祉など、地元を支える仕事はたくさんある。
問題は、それらの仕事が「見つけにくい」「知られていない」こと。
求人サイトに載っていない、SNSで発信されていない、説明会が開かれていない。
つまり、「仕事がない」のではなく、「見えていない」のです。
都市部と糸魚川市の生活コストの差
「収入が少ない=生活が苦しい」は都市部の話。
糸魚川では、収入が都市部より低くても、生活の質はむしろ高くなる可能性があります。
家賃の差は月5万〜10万円
| 地域 | 1LDKの平均家賃 | 
|---|---|
| 東京23区 | 約13万円 | 
| 糸魚川市 | 約5.5万円 | 
年間で約90万円の差。これは車の維持費や子育て費用に回せるレベルです。
食費・光熱費も安い
地元産の野菜や魚が手に入りやすく、外食より自炊が主流。 光熱費も都市部より安く、満員電車や定期代のストレスもゼロ。
| 項目 | 東京23区 | 糸魚川市 | 
|---|---|---|
| 家賃(1LDK) | 13万円 | 5.5万円 | 
| 食費(1人) | 4万円 | 2.5万円 | 
| 光熱費 | 1.5万円 | 1万円 | 
| 通勤交通費 | 1.5万円 | 0.5万円(ガソリン代) | 
| 合計 | 約20万円 | 約9.5万円 | 
差額:約10.5万円/月 → 年間126万円の節約
これは、都市部で年収600万円の生活と、糸魚川で年収450万円の生活が“体感的に同じ”になることを意味します。
糸魚川で働くという選択の価値
都市部には、確かに選択肢が多い。 でも、糸魚川には都市部にはない価値があります。
地域と深く関われる仕事
- 地元の人と顔を合わせて働く
 - 地域資源(海・山・ジオパーク)を活かした観光や商品開発
 - 地域課題に向き合う仕事(空き家活用、高齢者支援など)
 
自分の存在が“見える”仕事
- 小さな組織だからこそ、役割が大きい
 - 自分のアイデアがすぐに反映される
 - 「誰かの役に立っている」と実感できる
 
暮らしと仕事が近い
- 通勤時間が短い
 - 自然に囲まれた生活
 - 家賃が安く、生活コストが低い
 
若者が戻ってくるために必要なこと
- 地元企業の情報発信(SNS・note・動画など)
 - 若者向けのインターンや職場体験
 - Uターン・Iターン支援制度の充実
 - 地域での起業支援(空き家活用、補助金など)
 
糸魚川市には、まだまだ可能性があります。
それを掘り起こすのは、地元の大人たちと、戻ってくる若者たちの連携です。
まとめると
- 都市部と糸魚川市の求人格差は確かにある
 - でも「仕事がない」の正体は“見えていない”こと
 - 糸魚川には、地域と深く関われる仕事がある
 - 暮らしと仕事が近く、やりがいを感じやすい
 - 若者が戻るには、情報発信と支援制度が鍵
 
おしまい
「仕事がないから地元を出る」 それは、ある意味で仕方のない選択かもしれません。
でも、もし「地元で働きたい」「地域に貢献したい」と思うなら、 糸魚川にはその想いを受け止めてくれる場所があります。
仕事は、探すものではなく、つくるものでもある。
この街で、あなたの仕事をつくってみませんか。


